その日、泊まった宿は町の隙間にある静かなところ。
民家に古い酒蔵、電線、小川。
日常の間にふと現れたような建物だった。
リビングの窓からは格子越しの松江が見える。
帰宅途中の車や人が忙しなく行き来していた。
これからのんびりする私たち、ちょっと優越感。
そう、今日は女子会。
のんびりと忙しい、バカンスの始まりです。
手を洗って、宿の中を探索。
ここならゆっくり眠れそう。
今日は食べて飲んで話して…とにかく心地よく疲れるつもりだから。
あっちこち見て開けて、
楽しんだらもうご飯にしましょう。
冷蔵庫に、玉手箱のように納められたご馳走を発見してしまったし。
繊細な調理を経て、行儀よくお部屋におさまっている。
少しをたくさん。
女子はこれ好きだよね。
食べ終えたころには日も暮れて。
そろそろ街へ繰り出そう。
近くの飲み屋街にも明かりがついてきた。
館内の「探検カード」も忘れずに持ち出して。
夜の松江はひんやりしてキラキラ。
話も笑いも止まらなくて、写真はぶれぶれ。
ここ知ってる?
水辺にのびる長いテラス。
コンビニで買ったなんてことないお酒を並べて、静かに話す時間は格別。
水面に映った街も柔らかくゆらめいていた。
宿からお供していたミネラルウォーターもそろそろ少なくなって。
水滴が夜の光を集めている。
あたたかく迎えてくれる夜の姿。
日常のすぐ近くにあるけど、格子くらいの隙間だらけの感覚で別世界を感じさせる。
この街と繋がっている安心感と、洗練された空間にいる特別感。
それぞれに包まれながら、今日はもう寝ます。